20200218

月曜は布団から起き上がろうとするとべりべり皮膚がちぎられるみたいで半ば幽霊のような足取りで出社。思うように足が動かないのだ。つんのめったりつまづいたりしながら事務所の鍵を開け、デスクチェアに腰をかけると強烈な離人感におそわれ、あ、ここはどこだっただろう、期末試験終わって卒業式が来るから部室で練習しないとなーと思っていたら「おはようございまーす」と聞こえてきたので「おはようございますっ」と反射的に挨拶する。顔をのぞかせているのはいつもお菓子をくれる先輩で、「明日は名古屋出張だから不在ね」と言いながらパソコンの電源をつけた。そういえば私は会社員なのでした。ともかく仕事をするのが会社員らしいので今日が締切の仕事をメモ帳にリストアップする。上長に確認、上長に確認、本社に連絡、雑務。低血圧に効く薬、それはすなわち梅干しである、日に梅干しを一つ食めばそのうち良くなるであろう。ドクターはそう言っていたが、年に数回上が100を越えれば御の字の私に梅干しひとつを処方しても口の中が酸っぱくなるだけではないでしょうか。冬のくせに馬鹿みたいに下がる血圧(感覚的に80/60くらいと思われる)は普段の倍の重力で私を地球に引きつける。肺にスライムがべっとりはりついているような息苦しさ。ぷちぷちと安定剤をピルシートから押し出す。「あ、花粉症?最近飛びはじめたよね」「なんだか目が痒いんです」マスクの下で曖昧に微笑む私。お化粧する間も無く出勤する時、マスクは便利です。みんな優しい誤解をしてくれます。まつげエクステをして前髪を下ろしていればなんとなくお化粧している雰囲気になるので(おまけに眼鏡)「ちゃんとした社会人である」と誤魔化せます。

ちゃんとしたシャカイジン、なんて、本当は火星人くらいにお目にかかれない生き物なのではないでしょうか。今までの人生でほぼ見たことのない生き物の擬態を要求される(しかも擬態している生き物から)って、倒錯してます。みなさんそういうのがお好きなんでしょうか。

今日は一転して調子が良い。おそらく事務所に誰もいないからです。それなのにしっかりとお化粧してきてしまいました。ファンデーションが残り少ないから百貨店に行かなければ、と思っています。